戦国時代、近江の弱小国人領主「朽木家」に【朽木基綱】として転生した、歴史好きのサラリーマン『俺』。
そして戦国の覇者である三好家の血筋に生まれた「十河孫六郎重存」――のちの【三好義継】。
2人は同年の生まれであった。
転生者である【朽木基綱】は、その歴史知識を活かして、戦国で生き残ろうとする。
彼は知っていた。
1563年に、朽木に領地を接する【六角家】が崩れること。同じ年に三好家の跡取り【三好義興】が死ぬこと。
1564年に、三好家の当主【三好長慶】が死に、三好が分裂すること。
そして1565年に、将軍【足利義輝】が【三好義継】に殺されることも、彼は知っている。
もちろん、この世界で史実通りに事が運ぶかはわからない。
――だが、戦国の勢力図についての知識は役に立ち【朽木家】は、史実の八千石よりも随分大きい「大名」と言える家になっていった。
対する【三好義継】は、史実通り強く、京の覇権を握る三好家に生まれた。
彼は三好家当主の弟の息子であり、分家筋の若者であった。
当主【三好長慶】の息子で次期当主となる【三好義興】を支える立場になるよう育てられていた。
――しかし、史実通りに、三好義興が死に、当主三好長慶が死んだことで母の血筋が良かった彼が、三好家の当主に抜擢された。
前世知識を使って乱世の荒波を乗りこなし、成り上がる若き武将【朽木基綱】。
突然巨大な三好家を率いることになり、乱世の荒波に放り込まれた若者【三好義継】。
戦国の世、同じ年に生まれた2人の若者は、それぞれの想いを持って生き抜いてゆく。
――生き抜いてやる。継ぐべき想いの為に。命の、為に。