|【その1】|【その2】|
「じゃあ、エピローグ行きます。速水さん、お待たせしました」 「はい」
エピローグから入るためにずっと待機していたフェルディナンド役の速水さん。貴族院が舞台の『ハンネローレの貴族院五年生』では出番が少なめなので、ドラマCDではお久し振りですね。私はアニメのアフレコで声を聴いているので、それほどお久し振りの気分でもないのですが……。
「あの、テストもせずにいきなり? 前の声の確認とか発声とかしなくて大丈夫ですか?」
諸星さんの心配そうな声が聞こえました。他の方は新キャラの声を作る時や前回の声を確認する時に一緒に少し発声しているんですよね。何の確認もなく本番を要求されるのは、速水さんと井口さんくらいではないでしょうか。
「速水さん、大丈夫そう?」 「やってみなければわかりませんね」 「じゃあ、いってみようか」
音響監督さんの確認に対して苦笑気味にそう言う声がすでにカッコいい。 結局、何の確認もせずにスタートです。
「○ページのフェルディナンド。『してん』が『ちてん』に聞こえたかな?」 「×ページ、『に』じゃなくて『には』ですね」 「△ページ、『愚直で馬鹿』じゃなくて『愚直な馬鹿』です」
ちょこちょこと修正しつつ収録したら前編は終了です。
「前編は以上です。お疲れ様でした」
ここでハンネローレ役の諸星すみれさん、アナスタージウス役の大塚剛央さん、レティーツィア役の長縄まりあさんは退出されました。 アナスタージウスとレティーツィアは後編に出番がないため、ハンネローレはセリフ数が多すぎるので後編は後日収録するからです。
「お疲れ様でした」 「サインと写真、終わってますか?」
そんなスタッフさんの確認の声が遠くから聞こえ、退出していくキャストさんの挨拶が響くコントロールルーム。 約15分の休憩の中では今後のイベントやアニメ、グッズに関する話が飛び交っていました。このアフレコレポが公開される頃にはもう情報公開されていますね。私も楽しみです。
「そろそろ始めようか」
音響監督さんの声がかかると、後編の収録開始です。 とはいえ、最もセリフ数の多いハンネローレが不在なので、プロローグはフェルディナンド役の速水さんの声だけ。 修正もノイズなどで少し録り直しただけでほとんどなく終わりました。
シーンが飛んで、次はハンネローレの側近であるアンドレア役の井澤美香子さん、エルーシア役の大木咲絵子さん、ルイポルト役の遠藤広之さんの出番です。
ここで遠藤さんが非常に苦戦したのがドレヴァンヒェルのアクセント。
「ドレヴァンヒェル? ドレヴァンヒェルは……」 「違うな。ドレヴァンヒェル」 「ドレヴァンヒェル、ドレヴァンヒェル……」 「最初はよかったのに、また戻ったぞ」
すごく練習していた分、修正が難しいんだろうなと思いつつ、周囲のキャストさんが「この発音と同じ感じで……」など助言しているのを聞いていました。
難所の収録が何とか終わったら、次は待機していたシャルロッテ役の本渡楓さんの出番です。サンプルの声を聴いて、それから収録開始。
「○ページ、ちょっとオドオドしすぎかな? もっと普通でお願いします」 「×ページ、事務報告っぽくできますか? 淡々とした感じにしてください」 「△ページ、悲しい感じではなく困った感じにしてください」 「○ページ、嬉しい気持ちは間違ってないんですけど、語尾が弾みすぎですね」
情報を探り合う貴族女性のお茶会という面倒なシーンで、後編の収録は終了です。
「後編は以上です。速水さん、この後よろしくお願いします」
速水さんはドラマCDの後、別件の収録を行います。CM用とかグッズ用などを同日に収録することは時々あるのです。 ドラマCDやアニメのアフレコとは少し違う収録になるので、私や鈴華さんもそのままリモートで聞いています。尺が厳しくて「これを3秒に収めて」みたいな指示に対応できるプロの技を堪能できるのが楽しいです。
「はい、終了です。お疲れ様でした」 「お疲れ様でした」
速水さんの収録が終わると、一旦休憩です。
「香月さん、鈴華さん。次の収録は1時間半ほど後になります。開始10分前には戻ってください」 「はーい」
次の収録はラザンタルク役の八代拓さん。 今回はお一人なので、いらっしゃるとすぐさま収録が始められるように私達にも声がかかります。
「香月さん、鈴華さん。いらっしゃいますか? 八代さんがいらっしゃいました」 「はーい!」「大丈夫です」
以前の声を確認したら前編からスタートです。
「先生、どうですか?」 「○ページ、最初の一文だけでいいのですが、もっと嫌そうな感じが欲しいです」 「×ページ、『ほうのうまい』では?」
お上手なので細かい部分を直すだけでサクサク進みます。前編を終えたら後編です。
「○ページ、湿っぽすぎるので、もうちょっと軽く?」 「×ページ、『それに』を接続詞っぽく言っていましたが、指示語でお願いします」
後編もほとんど修正なく終了です。 スタッフさんが「サインと写真をお願いします」とスタジオに声をかけるのが聞こえます。
「香月さん、鈴華さん。本日はこれで終了です。お疲れ様でした」 「はーい、お疲れ様でした」「失礼します」
○2日目
本日の収録はオルトヴィーン役の梅田修一朗さん、お一人です。
「すみません。先に脚本の修正をお願いします。○ページ、『フィアグル』になっていますが、『フィグアル』が正しいです」 「了解です」
脚本の修正をしていただき、前回の声を確認したら収録開始です。
「全体的に気まずさを足してください。告白して振られているわけですし、お互いにギクシャクした感じで」 「○ページ、警戒をにじませてください」
今回のオルトヴィーンは前回に比べるとセリフが少ないこともあり、細かい部分を修正したらすぐに終わります。 10分とかからなかったくらい。
「香月さん、鈴華さん。短い時間のために朝からありがとうございました」 「お疲れ様です」 「失礼します」
○3日目
本日は断続的に収録が続く日です。私と鈴華さんはリモート参加です。 まずはコルドゥラ役の大原さやかさん、エグランティーヌ役の遠藤綾さん、イドナリッテ役と幼いケントリプス役の野村香菜子さんで前編を収録します。
「すみません。ハンネローレ『様』とハンネローレ『姫様』が混在しますが、コルドゥラはハンネローレ姫様に統一でいいんですよね?」 「ありがとうございます。それでお願いします」
収録前に大原さんから指摘がありました。前回の指摘をよく覚えていてくださったようです。どうやら脚本で新しくセリフが増えたところや少しセリフを短縮するなど修正された部分が「ハンネローレ様」になっていたらしく、確認不足にぐぬぬ……。
プロローグからしばらくはコルドゥラしか喋りません。
「○ページ、『自領』はこっちのアクセントで」 「×ページ、もう少しだけ柔らかくしてください」 「△ページ、『後始末を』に重点が置かれていますが、『率先して』に重点を置く感じでお願いできますか?」
ほとんど修正なく進みます。 途中でエルーシアが加わって側近同士の会話になりましたが、「自領」のアクセントの注意があったくらいで、特に目立った修正がないままエルーシアの出番は終わりました。
そして、回想シーン! 野村さんの幼いケントリプスがめちゃくちゃ可愛い! 「泣かないでください」と言いながら一緒に泣いているのが本当に。この回想シーンは絶対に聞いてほしいと思います。
前編のラストになってエグランティーヌの登場です。遠藤さん、お待たせいたしました。 以前の声を確認してから収録開始。
「○ページ、ツェント・エグランティーヌはワンワードでください」
遠藤さんもほとんど修正なく少々お疲れのエグランティーヌを演じてくださり、前編終了です。
「次のキャストが揃うまで一旦休憩です」 「その間にサインと写真をお願いします」
この後は後編だけ収録する方々が加わるため、一旦休憩です。 ガヤガヤとした中に「おはようございます」「お世話になります」と挨拶の声も聞こえました。
香月美夜「本好きの下剋上 ハンネローレの貴族院五年生」ドラマCD3
アフレコレポート【その2】
香月美夜「本好きの下剋上 ハンネローレの貴族院五年生」ドラマCD3
アフレコレポート【その2】
|【その1】|【その2】|
「じゃあ、エピローグ行きます。速水さん、お待たせしました」
「はい」
エピローグから入るためにずっと待機していたフェルディナンド役の速水さん。貴族院が舞台の『ハンネローレの貴族院五年生』では出番が少なめなので、ドラマCDではお久し振りですね。私はアニメのアフレコで声を聴いているので、それほどお久し振りの気分でもないのですが……。
「あの、テストもせずにいきなり? 前の声の確認とか発声とかしなくて大丈夫ですか?」
諸星さんの心配そうな声が聞こえました。他の方は新キャラの声を作る時や前回の声を確認する時に一緒に少し発声しているんですよね。何の確認もなく本番を要求されるのは、速水さんと井口さんくらいではないでしょうか。
「速水さん、大丈夫そう?」
「やってみなければわかりませんね」
「じゃあ、いってみようか」
音響監督さんの確認に対して苦笑気味にそう言う声がすでにカッコいい。
結局、何の確認もせずにスタートです。
「○ページのフェルディナンド。『してん』が『ちてん』に聞こえたかな?」
「×ページ、『に』じゃなくて『には』ですね」
「△ページ、『愚直で馬鹿』じゃなくて『愚直な馬鹿』です」
ちょこちょこと修正しつつ収録したら前編は終了です。
「前編は以上です。お疲れ様でした」
ここでハンネローレ役の諸星すみれさん、アナスタージウス役の大塚剛央さん、レティーツィア役の長縄まりあさんは退出されました。
アナスタージウスとレティーツィアは後編に出番がないため、ハンネローレはセリフ数が多すぎるので後編は後日収録するからです。
「お疲れ様でした」
「サインと写真、終わってますか?」
そんなスタッフさんの確認の声が遠くから聞こえ、退出していくキャストさんの挨拶が響くコントロールルーム。
約15分の休憩の中では今後のイベントやアニメ、グッズに関する話が飛び交っていました。このアフレコレポが公開される頃にはもう情報公開されていますね。私も楽しみです。
「そろそろ始めようか」
音響監督さんの声がかかると、後編の収録開始です。
とはいえ、最もセリフ数の多いハンネローレが不在なので、プロローグはフェルディナンド役の速水さんの声だけ。
修正もノイズなどで少し録り直しただけでほとんどなく終わりました。
シーンが飛んで、次はハンネローレの側近であるアンドレア役の井澤美香子さん、エルーシア役の大木咲絵子さん、ルイポルト役の遠藤広之さんの出番です。
ここで遠藤さんが非常に苦戦したのがドレヴァンヒェルのアクセント。
「ドレヴァンヒェル? ドレヴァンヒェルは……」
「違うな。ドレヴァンヒェル」
「ドレヴァンヒェル、ドレヴァンヒェル……」
「最初はよかったのに、また戻ったぞ」
すごく練習していた分、修正が難しいんだろうなと思いつつ、周囲のキャストさんが「この発音と同じ感じで……」など助言しているのを聞いていました。
難所の収録が何とか終わったら、次は待機していたシャルロッテ役の本渡楓さんの出番です。サンプルの声を聴いて、それから収録開始。
「○ページ、ちょっとオドオドしすぎかな? もっと普通でお願いします」
「×ページ、事務報告っぽくできますか? 淡々とした感じにしてください」
「△ページ、悲しい感じではなく困った感じにしてください」
「○ページ、嬉しい気持ちは間違ってないんですけど、語尾が弾みすぎですね」
情報を探り合う貴族女性のお茶会という面倒なシーンで、後編の収録は終了です。
「後編は以上です。速水さん、この後よろしくお願いします」
速水さんはドラマCDの後、別件の収録を行います。CM用とかグッズ用などを同日に収録することは時々あるのです。
ドラマCDやアニメのアフレコとは少し違う収録になるので、私や鈴華さんもそのままリモートで聞いています。尺が厳しくて「これを3秒に収めて」みたいな指示に対応できるプロの技を堪能できるのが楽しいです。
「はい、終了です。お疲れ様でした」
「お疲れ様でした」
速水さんの収録が終わると、一旦休憩です。
「香月さん、鈴華さん。次の収録は1時間半ほど後になります。開始10分前には戻ってください」
「はーい」
次の収録はラザンタルク役の八代拓さん。
今回はお一人なので、いらっしゃるとすぐさま収録が始められるように私達にも声がかかります。
「香月さん、鈴華さん。いらっしゃいますか? 八代さんがいらっしゃいました」
「はーい!」
「大丈夫です」
以前の声を確認したら前編からスタートです。
「先生、どうですか?」
「○ページ、最初の一文だけでいいのですが、もっと嫌そうな感じが欲しいです」
「×ページ、『ほうのうまい』では?」
お上手なので細かい部分を直すだけでサクサク進みます。前編を終えたら後編です。
「○ページ、湿っぽすぎるので、もうちょっと軽く?」
「×ページ、『それに』を接続詞っぽく言っていましたが、指示語でお願いします」
後編もほとんど修正なく終了です。
スタッフさんが「サインと写真をお願いします」とスタジオに声をかけるのが聞こえます。
「香月さん、鈴華さん。本日はこれで終了です。お疲れ様でした」
「はーい、お疲れ様でした」
「失礼します」
○2日目
本日の収録はオルトヴィーン役の梅田修一朗さん、お一人です。
「すみません。先に脚本の修正をお願いします。○ページ、『フィアグル』になっていますが、『フィグアル』が正しいです」
「了解です」
脚本の修正をしていただき、前回の声を確認したら収録開始です。
「全体的に気まずさを足してください。告白して振られているわけですし、お互いにギクシャクした感じで」
「○ページ、警戒をにじませてください」
今回のオルトヴィーンは前回に比べるとセリフが少ないこともあり、細かい部分を修正したらすぐに終わります。
10分とかからなかったくらい。
「香月さん、鈴華さん。短い時間のために朝からありがとうございました」
「お疲れ様です」
「失礼します」
○3日目
本日は断続的に収録が続く日です。私と鈴華さんはリモート参加です。
まずはコルドゥラ役の大原さやかさん、エグランティーヌ役の遠藤綾さん、イドナリッテ役と幼いケントリプス役の野村香菜子さんで前編を収録します。
「すみません。ハンネローレ『様』とハンネローレ『姫様』が混在しますが、コルドゥラはハンネローレ姫様に統一でいいんですよね?」
「ありがとうございます。それでお願いします」
収録前に大原さんから指摘がありました。前回の指摘をよく覚えていてくださったようです。どうやら脚本で新しくセリフが増えたところや少しセリフを短縮するなど修正された部分が「ハンネローレ様」になっていたらしく、確認不足にぐぬぬ……。
プロローグからしばらくはコルドゥラしか喋りません。
「○ページ、『自領』はこっちのアクセントで」
「×ページ、もう少しだけ柔らかくしてください」
「△ページ、『後始末を』に重点が置かれていますが、『率先して』に重点を置く感じでお願いできますか?」
ほとんど修正なく進みます。
途中でエルーシアが加わって側近同士の会話になりましたが、「自領」のアクセントの注意があったくらいで、特に目立った修正がないままエルーシアの出番は終わりました。
そして、回想シーン!
野村さんの幼いケントリプスがめちゃくちゃ可愛い!
「泣かないでください」と言いながら一緒に泣いているのが本当に。この回想シーンは絶対に聞いてほしいと思います。
前編のラストになってエグランティーヌの登場です。遠藤さん、お待たせいたしました。
以前の声を確認してから収録開始。
「○ページ、ツェント・エグランティーヌはワンワードでください」
遠藤さんもほとんど修正なく少々お疲れのエグランティーヌを演じてくださり、前編終了です。
「次のキャストが揃うまで一旦休憩です」
「その間にサインと写真をお願いします」
この後は後編だけ収録する方々が加わるため、一旦休憩です。
ガヤガヤとした中に「おはようございます」「お世話になります」と挨拶の声も聞こえました。
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