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香月 世界観と、その世界の中で生きている人々の吐息が感じられるところです。
白浜 風土や文化、気候、歴史だったりがしっかりと根づいているからこそ生まれている世界に惹かれました。物語を描くために、ファンタジーの設定を使っているわけではない、緻密な世界観に裏付けされた物語に、本当にあったことを読んでいるような没入感がありました。
香月 それは『とんがり』も同じですよね。
白浜 キャラクターを見せるために舞台設定があると感じられる物語もありますが、『本好き』は世界そのものが主人公で、そこに生きている人々を描いている物語です。両者は同じファンタジーでもテイストが違いますよね。私は後者が好きなので、読んでいてとても入り込めました。
香月 私も物語の背景が感じられる作品が好きなんです。『とんがり』はまさにそうでした。その緻密さもすごい。作り込まれている。
白浜 『本好き』は誰が主人公になっても物語として成立しますよね。世界観という作品の土台がしっかりしているので、キャラクターの視点を変えた短編でも違和感なく読めるんだと思います。本編のマインちゃんから視点が変わると、こんな風に見えるのかと一味違った面白さがあるので、短編も追いかけるのが楽しいです。