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香月 私は最初から主人公を女の子で考えていましたね。
白浜 女の子でも男の子でも、どちらでも良かったんです。子供達の成長は、性別に左右されないようにしたいと考えていましたから。ただ恋愛ものでもバトルものでもない冒険ファンタジーで、少女が主人公の物語は少年に比べても少ないなと感じていたので、女の子が自分自身のために頑張るファンタジーが読みたい人がいるんじゃないかなと思って。私自身で読むにはどんな物語でも好きなんですが、自分が描かなくても他の作品でたくさん楽しめそうな要素からはなるべく離れて、ない方にない方に行きました。ないない需要です(笑)。
香月 (笑)。うちの子も女子なんで、すごく感情移入しています。
白浜 嬉しいですね。ただ、キャラクターの心情や行動としては、女の子でも男の子でも大差ないようには作っています。
香月 ココという女の子が主人公になったことで、絵の可愛いらしさが出ていますよね。
白浜 同年代くらいの子が楽しんでくれるのは嬉しいです。『本好き』も特にアニメでは今は少ない「世界名作劇場」みたいな雰囲気なので、小さい子がマインちゃんを好きそう。
香月 でも、マインの真似をするのは危険(笑)。
白浜 暴走しちゃう(笑)。『本好き』は主人公が本当にハードな状況から始まりますよね。
香月 主人公が何もできない状態からスタートしたかったんです。
白浜 身体は弱いし、お金もないし。
香月 ないない尽くし(笑)。ココちゃんはどうでしたか?
白浜 友達になりたいタイプにはしようと考えていました。この世界観に案内してくれる招待者なので、一緒に遊びたいとか、お話したくなるようなキャラクターがいいかなと。
香月 マインについて、世界の案内人としての親しみやすさとかは考えなかったなぁ。とりあえず、困難を乗り越えていくバイタリティは必要だなって。精神的にタフじゃないと無理だし。
白浜 憧れになりうる存在ですよね。牽引してくれる。
香月 状況的に突っ走っていくタイプだなと。だから、書籍化の最初の頃は少し心配でした。暴走しすぎちゃうので、読者は感情移入できるかなって。
白浜 ずっと「マイン、頑張れ」って思っていましたよ。「どうしてマインに酷いことするんだ!」って応援していました。信じられない、5歳だぞ!って。
香月 (笑)。
白浜 フェルディナンドは最初からマインのメンターとして設定していたんですか?
香月 登場させた時にはある程度最後まで見えていて、マインを貴族社会に導く存在でした。ただ、最初の構想段階では神殿長と神官長のどちらがマインを導くかなど、様々な分岐パターンは練りました。
白浜 マインを取り巻く人々が次々に変わりますよね。その中でフェルディナンドはずっと特別な存在です。登場した当初から、その立ち位置でいこうと決めていたんですか?
香月 うん。もう二部開始の時点で決まっていましたね。キーフリーはどうですか?
白浜 まぁ、これからなので……。
香月 言いにくいですよね(笑)。
白浜 先生の立ち位置が必要だなっていうのはありました。主人公たちはみんな女の子なので、バランスをとって男性かなと。今のキーフリーのデザインは元々別のキャラクター用のものだったんですが、ビジュアルの出来が良かったので、変えたんです。
香月 (笑)。
白浜 なので、ビジュアルから今の性格が少しずつ生まれていった感じです。良い先生にはしようと考えていましたが……。
香月 言えないことが多そう(笑)。
白浜 色々あって、少し複雑なキャラクターなんです。
香月 うん、コミックスでもそれが見えてきましたものね。
白浜 その複雑さが読者の方を惹きつけるポイントにもなっているみたいで。
香月 キャラクターの味になっていますし、気になる魅力です。
白浜 こっちはてんやわんやですが……。編集さんに「どうしてこうなっているんですか?」と聞かれても答えられなかったり……どうしてこんなこと言わせちゃったんだろう、私もわからないって(苦笑)。
香月 (笑)。
白浜 そういうことが度々起きるのが、キーフリーです。描きながら作っていってます。
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