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「本好きの下剋上  ハンネローレの貴族院五年生」ドラマCDアフレコレポート【その1】

「本好きの下剋上  ハンネローレの貴族院五年生」ドラマCD
アフレコレポート【その1】

【その1】【その2】【その3】【その4】|

なんと『ハンネローレの貴族院五年生』1にドラマCDが付くことになりました。
企画を聞いた時はビックリしましたね。「え? 新シリーズの1巻から?」って。
普通は新シリーズの1巻目にドラマCDは付きませんから。
まぁ、本編からの流れがあるので可能は可能です。

「主要キャラは兼ね役ではなく、新しいキャストさんにお願いした方が良いですよね?」
「そうですね」
「ケントリプス、ラザンタルク辺りでしょうか?」
「うーん、ラオフェレーグ、オルトヴィーン、ジギスヴァルトも本役として演じてくださるキャストさんにお願いしたいです。その他だと、ダンケルフェルガーのコルドゥラとかルーフェン、王族のエグランティーヌやアナスタージウスが出番多めですが、新しいキャストさんを付けますか? あとは神様を兼ね役にするかどうか……」

私が『ハンネローレの貴族院五年生』に出てくるキャラを上げていくと、担当さんが指折り数えて「相変わらずキャラが多いですね」としみじみ言いました。できるだけキャラの数を抑えたいと思ってはいるんですけれどね。

「香月さん、全員新キャストになります。あと、レスティラウトも新しいキャストにお願いすることになりました」
「え? マジですか?……わぉ、また有名な方ばっかり!」

二度目のビックリです。まさかこれほど新キャストさんが増えるとは思いませんでした。新シリーズだから、新キャラは増えるものなんですけれど、それでもね。

そして、届いた脚本の初校を見て三度目のビックリ。

「え? 二枚組ですか? 収録範囲としては書籍1巻分しかないのに?」
「関係者全員が驚いています。でも、一枚には収まらないと國澤さんが……」

まぁ、新キャラがたくさんですし、キャラの紹介を兼ねるため出番をあまり削れませんからね。今回はかなり丁寧に様々なシーンが拾われています。
そんな國澤さんからの要望は「ドラマCDのプロローグをレスティラウト視点にしたいです」というもの。書籍のプロローグはコルドゥラ視点なのですが、レスティラウト視点で貴族院へ出発するシーンをプロローグにしたいと相談されました。

「それから、できればレスティラウトがハンネローレの婚約者候補達をどう思っているのかも知りたいです」
「ん~……。じゃあ、ドラマCDのおまけSSはレスティラウト視点にして、その辺りのエピソードを入れましょうか?」
「助かります。ありがとうございます」

そんな話し合いでドラマCDのプロローグ&おまけSSの要素が決定しました。
こうして脚本が完成し、たくさんの新しいキャストさんが決定し、『ハンネローレの貴族院五年生』のアフレコが始まります。
4日間にわたるアフレコ。私と鈴華さんは家で音声を聞くリモート参加でした。

1日目
この日は一人ずつの収録で、新しいキャストさんばかり。
私も何となくちょっと緊張して臨みます。

○大塚剛央さん

大塚剛央さんは新しいキャストさんですね。アナスタージウス役を演じてくださいます。
サンプルボイスを聞いた時点で「うん、とってもアナスタージウス」と思ったので、最初から声に不安はありませんでした。

「先生、どうですか?」
「声は良いのですが、もうちょっとだけ年齢を上げてもらっていいですか?」

それで調整を終えて収録開始。初めての方なので、テストをしてから収録です。
今回のアナスタージウスは領主候補生コースの教師です。王族らしさより教師らしさを優先する感じで。

「先生、どうですか?」
「全然問題ないです」

お上手でした。
講義中のお喋りをちょっと嫌そうに止めるのも、「また其方等か」と呆れたように言うのもイメージ通り。
アナスタージウスのセリフ数は少ないので、サクッと収録は終了です。
いつも通り写真を撮って、サインをお願いします。

「あの、マスクは外した方が……?」
「どっちでもいいよ。顔が良いから外したら?」

スタッフさん達の笑い声が聞こえます。こういう楽しそうな様子を聞いていると、リモートではなく現場にいたいと思ってしまいますね。

○安田陸矢さん

安田陸矢さんも新しいキャストさんです。ジギスヴァルト役を演じてくださいました。

まずはテストで声の確認をします。

「先生、どうですか?」
「うーん、ちょっと悪意が前に出すぎですね。もっと柔らかくしてください。ジギスヴァルトはナチュラルにめちゃくちゃ上から目線ですが、当人には見下している自覚がないので至極当然のことを丁寧に言っている感じでお願いしたいです」

私が意見を述べていると、鈴華さんからの意見が出てきました。

「香月先生、年齢は上げなくて良いですか?」
「あぁ、もうちょっと上げてほしいですね。アナスタージウスより年上に聞こえてほしいので」

そんな意見をまとめて調整すると、いい感じのジギスヴァルトの声になりました。

「うんうん、いいですね」

声ができると収録自体はスルスルと終わりました。
説明の中で語られるだけで、ジギスヴァルト当人が貴族院に現れるわけではありませんからね。
本人が登場する領地対抗戦を書くのが今から楽しみです。

「お疲れさまでした!」

安田さんはジギスヴァルトと思えない、めちゃくちゃ爽やかな挨拶の声と共に帰られました。

○加藤英美里さん

加藤英美里さんも新しいキャストさんで、縁結びの女神リーベスクヒルフェ役です。

「質問しても良いですか?」
「どうぞ」
「年齢、性格、女神のどれを優先すれば良いのでしょう?」
「神様らしさを優先してください」

聞いた時にも人間と神様に差があってほしいんですよね。
リーベスクヒルフェはあまりはっちゃけすぎると、神様らしさが消えてしまうので困りもの。

「先生、どうですか?」
「声自体はとても良いですね。性格的な解釈も問題ないです。ただ、もうちょっと演じ方に神様らしさが欲しいです」
「神様らしさ?」
「えーと、ほら、メスティオノーラとかエアヴェルミーンとかを収録した時も言ったような……。どちらかのサンプル出ますか?」

聞いてもらうのが早い気がして提案しました。確かメスティオノーラの口調もエアヴェルミーンの声を聴いて、それに寄せてもらったんですよね。

「メスティオノーラのサンプル!? 出るか?」
「探します!」

音響監督さんの声にすぐさま探してくださる録音さん。突然の無茶振りですみません。
探してくださったメスティオノーラのセリフを加藤さんに聞いていただき、そういうふわっとした神様の雰囲気が出るようにお願いして再テスト。

「OKです。これで進めてください」

一旦雰囲気というかイメージが固まると、声優さんはそれで演じられるんですよね。
お見事です。

悪戯っぽい小悪魔的お姉さんになったリーベスクヒルフェをお楽しみに。

これで1日目が終了しました。
この日は全て一人ずつの収録でしたが、次回は複数人の収録予定です。

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