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「本好きの下剋上  ハンネローレの貴族院五年生」ドラマCDアフレコレポート【その2】

「本好きの下剋上  ハンネローレの貴族院五年生」ドラマCD
アフレコレポート【その2】

【その1】【その2】【その3】【その4】|

2日目
アフレコ2日目です。今日はガヤ収録もありますし、主役のハンネローレの収録もあるので結構長時間の収録になります。

○竹内良太さん、夏吉ゆうこさん、井澤美香子さん、遠藤広之さん、岡井カツノリさん、野村香菜子さん

ガヤなども収録する予定なので最初は人が多いです。

竹内良太さんがルーフェン役。夏吉ゆうこさんがハイルリーゼ役。井澤美香子さんがアンドレア役、幼いラザンタルク役。
遠藤広之さんが中領地の騎士A、中央騎士団の騎士A、寮生1、騎士見習い1。
岡井カツノリさんが中領地の騎士B、コリンツダウムの上級貴族、寮生2、騎士見習い2。
野村香菜子さんが幼いケントリプス、ディナンを演じてくださいました。

まずは前編です。
回想シーンに出てくる幼いラザンタルクと幼いケントリプスから。

「先生、どうですか?」
「ラザンタルクの声は問題ありませんが、ハンネローネになってません?」
「あぁ、そう聞こえたな。ケントリプスは?」
「大丈夫です」

一言二言しかありませんが、可愛い二人の幼少期の声ができました。
小さい子達の会話が本当に可愛いのでお楽しみに。

それぞれたくさんの役を演じてくださいますが、それぞれのセリフは少ないので、収録はどんどん進みます。

「先生、どうですか?」
「アンドレアはもうちょっと年齢を上げてください」
「○ページのアンドレアは勢いが良すぎですね。もう少し落ち着いてください」

「ここの回想の中領地の騎士は学生なので十代半ばでお願いします」
「先生、中央騎士団の騎士はおっさんで大丈夫?」
「はい。おっさんで大丈夫です(笑)」

「コリンツダウムの上級貴族はもっと嫌らしいというか、ねちっこい感じで」
「ねちっこいのか(笑)」

「ディナンはちょっと違いますね。えーと、機械っぽいというか、シュバルツやヴァイスに寄せてください」
「あぁ、淡々とした感じか」

前編はサクッと終わって、次は後編へ。
同じようにテストから始まります。

「ここの寮生、もっと野次馬らしくしてください。面白がって喧嘩を煽る感じ」
「え? いいの? 貴族なのに?」
「ダンケルフェルガーなので(笑)」

それから後編に出番があるルーフェンの声を確認します。

「先生、どうですか?」
「ルーフェンの声は問題なしです。これで進めてください」

サンプルボイスを聞いていたので、全く違和感なくOKでした。

「○ページのルーフェン。走り込んでくる息遣いを入れてくれる?」
「×ページ、ラザンタルクを投げ飛ばすアドリブをください」

いくつか注文が入りましたが、特にミスらしいミスもありませんでした。ルーフェンの先生らしい部分がよく出ていると思います。

シーンがパッと飛んで、ハイルリーゼの出番です。

「先生、どうですか?」
「騎士らしい元気さもあって良いですね。OKです」

声の確認をしたらテストで気になった部分を修正していきます。

「×ページのハイルリーゼ、『この後』は『このあと』と読んでください」
「こちらのミスです。『姫様』ではなく『ハンネローレ様』に修正してください」
「△ページ、『そっちへ』と聞こえました。『そちらへ』が正しいです」

セリフのある部分の収録を終えたらガヤの収録にご協力いただきます。
こればかりは人数がある程度必要だし、個人的には素人にはできないことだなと感じています。特に『本好きの下剋上』は難しいんですよ。ガヤに求められる会話が普通じゃないので。

「先生、ここは女性メイン?」
「そうですね。恋愛沙汰に浮かれる感じなので、女性メインでお願いします」

……うーん……。きゃあきゃあと楽しそうだけれど、はしゃぎすぎ?

そう感じたのは私だけではなかったようで、音響監督さんからもすぐに「貴族らしい感じで品良くな」と指示が入りました。そうすると、はしゃぎ方が品良くなるんです。

「次は教室の授業が始まる前の雰囲気でくれる?」

その途端に始まる「おはよう」「ねぇねぇ、昨日のアレ見た?」「ちょっとノート見せて」などの学生らしい会話。
確かに授業が始まる前の教室の空気ができていますが、違います。

「待ってください! 会話が現代日本で、貴族じゃないです! 領主候補生の教室なので」
「あ」

音響監督さんの指示で次の瞬間には「ごきげんよう」が飛び交う教室になりました。注文を付ける側である私が言うのもなんですが、「貴族の会話って何だよ?」ってならないんですよ。ちゃんと貴族の空気にできるのって本当にすごいなぁって思いません?

「じゃあ、ヘルヴォルをやるか。男性陣で獣の声ください」

ヘルヴォルは魔獣です。この吠える演技もすごいな、と。
声優さんはマジで何でもできます。

「かぶせ用にもう一回」

ガヤが終わると収録終了です。
本当にお疲れさまでした。

○諸星すみれさん、寺崎裕香さん、八代拓さん、朝井彩加さん

諸星すみれさんがハンネローレ役、寺崎裕香さんがヴィルフリート役、八代拓さんがラザンタルク役、朝井彩加さんがラオフェレーグ役を演じてくださいました。

今回の主役であるハンネローレの登場です。絡みの多い主要キャラが一緒なのも雰囲気がつかみやすくて個人的にはとても嬉しいです。

以前に収録したハンネローレやヴィルフリートの声を確認してから、テストが始まりました。
新しいキャラであるラザンタルクとラオフェレーグの声を確認します。

「先生、どうですか?」
「えーと、ラザンタルク。声は良いのですが、もう少し元気よくというか騎士っぽく? ちょっと落ち着きすぎているかな? 文官っぽく感じました」

「ラオフェレーグは?」
「雰囲気は良いけど、もうちょっと年齢を上げてくれませんか? 6~7歳に聞こえます。あと、できればもっと男の子らしい声になりませんか? ハンネローレに求婚するのに声が可愛すぎます」

ハンネローレの年齢が上がって落ち着いた感じになったからこそ、ラオフェレーグの幼い声が女の子っぽく聞こえてしまうんですよね。
そういう細かい調整をしてそれぞれの声ができると、収録開始です。

諸星さんは言い間違えた時に「うぇっ」と小さく声に出るのが可愛かったです。

「○ページのインサート、二年前なので少し年齢を下げてください」
「×ページのラザンタルク。『いきたい』を『いただきたい』って言いませんでした?」
「△ページのハンネローレ。様子を窺う空気が欲しいです。語尾を上げる感じ?」
「△ページのラオフェレーグ。もう少し棒読みっぽくなりませんか? えーと、教えられた言葉をそのまま言っている感じが欲しいです」
「○ページのヴィルフリート。他領のアクセントが違いません?」
「×ページ、こちらのミスです。『ありがとうございます』になっていますが、『ありがとう存じます』で」

そうして修正箇所を話し合うわけですが、なかなか通じないこともあるのです。

「×ページ、祝詞っぽくお願いします」
「祝詞っぽくとは?」
「えーと、こんな感じで……(手を動かしているけれどリモートでは通じない)。……うーん、今のは淡々としすぎって言うか」
「祝詞は感情的にはならんだろ?」
「それはそうなんですけど、ほら、ローゼマインやフェルディナンドの祝詞と違うじゃないですか。こう、ほら、祈ってないんですよ」
「抑揚か?」
「そう、それ!」

私の足りない語彙力を補ってくれる音響監督さんの指示で祝詞が祝詞らしくなりましたが、言いたいことを上手く伝えられないのは本当にもどかしいですね。待たせているのがわかるから焦って尚更頭が真っ白になるし……。

あと、「ドレヴァンヒェル」の発音。
これが難物。
「ドレヴァンヒェル? ヘル? フェル? ヒル? 何か違う」
「アクセントが後ろ? ドレヴァンヒェルな」

皆様が「ドレヴァンヒェル」に苦戦しつつ、収録は進みます。

「○ページのハンネローレ、ご存じでしょ?って最後が上がって聞こえますが、ご存じでしょう?と後ろを伸ばすというか下げるというか、確認とか牽制の空気を入れてください」
「×ページは感情を抑えめに……。沈んだ感じでお願いします」
「△ページ、こちらのミスです。ドレヴァンヒルになっていますが、ドレヴァンヒェルです」
「○ページはちょっと淡々としすぎですね。気まずさと傷ついた感じが欲しいです」
「×ページのヴィルフリート。『うむ』が『ん』になってます」
「△ページのラザンタルク、他領の者がちょっと流れたな」

前編のエピローグ前まで収録したところでストップが入りました。

「このペースだと予定の時間内に終わらんな」
「後日に調整しますか?」
「あ、ラオフェレーグは後編ワンワードなので先に終わらせたいです」

初めて「本好き」に参加された方が多いこともあり、テストが多かったせいか時間が押して後編を収録しきれず、調整し直し。
こういう仕切り直しは初めてなので驚きました。
お忙しい声優さん達は予定していた時間になると、次のアフレコスタジオへ移動しなければならないので時間が押しても延長は難しいそうです。

「写真だけは先に撮っておいて」
「サインはどうします?」

バタバタとした雰囲気の中でそれぞれに調整が始まります。

「香月さん、鈴華さん。調整したらまた連絡します。本日はお疲れさまでした」

私や鈴華さんにできることはないので、早々に退出しました。

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